無角和牛(無角和種)について
お断り:2024年3月現在、「無角和牛(無角和種)」に関する情報が不足しているため、以下の内容の多くは「阿武町役場」が運営しているHPなどの内容を編集したものになっております。
和牛のルーツ直属種「無角和牛(無角和種)」
無角和牛(無角和種)の由来
山口県阿武郡で在来和牛(見島牛)とアバディーン・アンガス種を交配して誕生しました。
黒毛和種と同様の黒い姿をしていますが、角はなく、ずんぐりとした体格をしています。
現在、山口県のみで飼育されています。
在来和牛(見島牛)
西洋種から影響を受けずに日本の山口県にある小さな見島で育った純血の和牛、それが見島牛です。
この牛は、自然豊かで厳しい日本海の離島で育ち、昭和3年に国の天然記念物に指定されるほど、その純血と和種としての原型を保っています。
年間わずか4~5頭しか生産されないこの貴重な見島牛は、筋肉にエネルギーを蓄え、鮮やかなサシが入った霜降り肉となり、野生味溢れる食感と深い味わいがあります。
アバディーン・アンガス種
イギリスのスコットランド、アバディーン州とアンガス州の両州を原産とする牛です。
小さな体躯にもかかわらず優れた肉質を誇り、ヨーロッパの牛肉料理を、煮込みからステーキへと変革したとされています。
写真提供:全国肉用牛振興基金協会
黒毛和種
高級牛肉の代名詞ともなっている霜降りの多さややわらかさが特徴の牛です。
明治時代から全国で在来種に各種欧州系を交雑して改良が重ねられました。
無角和牛(無角和種)の歴史
大正時代、畜牛飼養を奨励していた山口県では、多くの農家で一家に一頭牛が飼われ、役・肉・乳の3用途を兼ねる牛を理想として改良が進められていました。
大井村(現在の萩市)が畜産試験場中国支場から「小雀(こがら)号」を借り受けたことに端を発します。
小雀は、在来和種に、アバディーン・アンガス種をかけ合わせた種雄牛でした。
これが無角和種のルーツとなります。
それから改良が重ねられ、畜産共進会に参加した牛の多くが入賞するなど、高い評価を得るようになりました。
それまで県内組織では「無角牛」として登録されていた品種は、中央農業会登録審議会によって固定品種と認められ、正式に「無角和種」(無角和牛)となったのです。
無角和牛(無角和種)の食肉としての特徴
噛むほどに旨味と肉汁が溢れる赤身ならではの味わいが特徴です。
無角和牛(無角和種)の美味しさ
サシが入りにくく水分の多い赤身が主体の為、肉本来の魅力を存分に楽しめます。噛み心地が良く、旨味の成分であるアミノ酸が豊富で、噛むたびに肉汁の豊かなコクと風味が口の中に広がります。
霜降りで「歯がなくても切れる」と表現される黒毛和種に対し「噛む楽しみ」を感じることができるのも大きな特徴です。
無角和牛(無角和種)を食べる健康上の利点
無角和牛(無角和種)は赤身肉が非常に多い品種です。
赤身肉は、たんぱく質を他の部位よりも多く含んでいるため、一日の活動で傷ついた皮膚細胞を修復し、疲労回復を助ける効果が高いと考えられます。
また赤身肉には脂質を代謝するのに欠かせない、L-カルニチンという栄養素が豊富に含まれています。
L-カルニチンとはエネルギー代謝に必須の栄養素で、エネルギー源としての脂肪酸と結合することで脂肪の代謝がスムーズに行われます。
その結果余計な脂肪が蓄積されにくくなり、ダイエット効果が期待できます。
さらに赤身肉は鉄分やビタミンB群を豊富に含んでいます。
特に鉄分は血液を生成するのに必要な栄養素で、冷え性を改善する効果が期待できます。
ビタミンB群には疲労回復効果もあるので、アンチエイジングの効果も高いといえるかもしれません。
無角和牛(無角和種)の飼育過程
※写真はイメージです
妊娠した牛たちは、牛舎から直結する運動場に出ることができます。
妊娠週の進んだ母牛たちは牧場に放牧され、のびのびとした妊娠期間を過ごしながらお腹のなかで子牛を育てます。
出産が近づくと、安心して子牛を生んでもらうために他の牛と隔離します。
そして子牛が生まれると、生後4ヶ月までの間、母牛が母乳を与えて育てます。
子牛はたっぷり栄養摂取ができ、更に免疫力を高めることができます。
生後5ヶ月を迎えると母牛のもとを離れ、ビタミン豊富なトウモロコシや麦などを配合した飼料にビールかすを配合したものを食べ始めます。
乾いてチクチクとした牧草を食べることで胃が刺激され、広がり、丈夫で消化力の高い胃が育ちます。
育成牛舎にて8ヶ月を迎えると、肥育牛舎へと移ります。
出荷までの22ヶ月から25ヶ月までの期間を過ごす肥育牛舎では、成長段階に合わせた量の濃厚飼料と、阿武町の牧草で作ったイネ発酵粗飼料と阿武町の稲わらを食べて育ちます。
無角和牛(無角和種)と持続可能な世界
※写真はイメージです
これまでも地域で一貫生産を続けてきた阿武町で「地域栽培飼料」での飼育割合を増やしています。
輸入飼料に加えて、耕畜連携によって供給される「稲わら」や「牧草」を肥育期の飼料として使用し、繁殖牛には同町で栽培したイタリアンライグラスを与えています。
町内の耕畜連携を推進することで飼料自給率をさらに高めることを目指しています。
今後は、輸入飼料の割合の多い一般的な和牛の飼育体制からの脱却を目指し、飼料の主体を国産や県内産、町内産に切り替えていく計画です。
また、阿武町では「移動型放牧」を実践しています。
移動型放牧とは、点在する小規模の耕作放棄地などを電気牧柵で囲って牛を放牧し、利用できる草がなくなれば牛を移動するという飼養技術です。
穏やかな性格の無角和種は放牧に適しており、雑草を食べてくれることで土地の見通しが良くなり獣害が減る効果もあるとのことです。
ストレスの少ない放牧期間を牛に与えながら、餌代と餌やりの手間を省き、その上農地保全にもつながる取り組みです。
無角和牛(無角和種)の未来
繁殖から肥育までを地域内で完結している一貫生産方式を更に極めていってるようです。
無角和牛(無角和種)の特性に合った飼育方法を研究し続けること、阿武の土地のものをもっと与えること、阿武の土地で健やかに育ってもらうこと。
無角和牛(無角和種)を食べることで、阿武町の豊かな自然の恵みと生産のこだわりを感じてもらえる未来を目指しているとのことです。
無角和牛(無角和種)の保存と普及への取り組み
※写真はイメージです
無角和牛(無角和種)が人間と長きに渡って共生していくために様々な取り組みが進んでいます。阿武町では、これまで放牧飼育を主として行ってきました。
その生き物が慣れ親しんできた種の特性に合った環境で育てられた牛たちは、活き活きとしているように見えます。
豊かな自然に囲まれ母牛の乳を飲みのびのびと歩きまわり良質な草を食べて育つ姿です。
加えて近年では、アニマルウェルフェアへの意識の高まりとともに、各国の畜産の現場で、さまざまな取組が進んでいるようです。
※アニマルウェルフェア
人間が動物に対して与える痛みやストレスといった苦痛を最小限に抑えるなどの配慮により、動物の待遇を改善しようとする考え
また普及のための新たな商品開発も続いています。
無角和種を買い付けて加工と流通を行う山口県岩国市の安堂畜産では「ドライエイジングビーフ」の商品化がなされました。
ドライエイジングとは専用の熟成庫で温度や湿度、風、微生物を厳密に管理しながら40日ほど熟成させるなどして、肉の旨味を凝縮する方法。
サシの入らない無角和種の赤身肉は、肉に含まれる水分が多くドライエイジングに適していると考えられます。
販売を通じて品種の保存に取り組んでいます。
牛肉料理しもかわの無角和牛(無角和種)の料理
無角和牛(無角和種)のステーキ
肉そのものの味を楽しむにはやはりステーキです。
赤身肉は火を通しすぎると硬くなってしまうので、肉が冷たい状態から焼き始め、頻繁にひっくり返しながら焼いていくことがポイントです。
ヒマラヤの岩塩など硫黄分の多い岩塩で食べるのがおすすめです。
無角和牛(無角和種)の衣あげ
衣あげにすると、より香りを楽しむことができます。
無角和牛(無角和種)の脂をカツの油にブレンドすることで衣はカラッとそして力強い仕上がりにすることができます。
ソースは少なめで食べるのがおすすめです。
無角和牛(無角和種)の握り
家庭では難しいと思いますが、寿司のようにニンニク醤油で食べるとまた違う味わいを体験することができます。
レアに近い状態なので、馬肉に近い野生味をより強く感じることができます。
牛肉料理しもかわでは、唯一無二の牛肉を求め続けてきた「牛肉のプロ」のオーナーシェフが厳選した希少種の無角和種の阿武牛、また在来種で和牛のルーツである見島牛など、奥の深い牛肉の味わいを食べ比べ、楽しむことができます。
練馬区の大泉学園駅から徒歩圏内にお店がございますので、お時間ございましたら、ぜひお気軽にご来店ください。お電話・フォームからのご予約も承っております。